納期遅延48%の工場をゼロに! S-DBR導入の成果
先日は従業員5名の加工メーカーに対し、S-DBR導入コンサルティングを行いました。
先日は従業員5名の加工メーカーに対し、S-DBR導入コンサルティングを行いました。
その工場は、受注全体の48%が納期遅延(!)という深刻な状況だったものの、
S-DBR運用開始から4週間で”納期遅延ゼロ”を達成という、驚きの成果が出ました。
以下ではその成功ポイントについて、紹介したいと思います。
(内容共有については了承を得ています)
原因分析: 着手順の問題点
まず始めに、納期遅延していた原因調査から行いました。
一般には顧客要求が短納期過ぎることが納期遅延要因の一つにありますが、
この工場では、顧客からは十分な受注リードタイムを得ていました。
もちろん、現場がサボっている訳ではありません。
むしろ納期遅延を解消するために、懸命に努力しているようでした。
ヒアリングを進めていくと、現場での「作業の着手順」が問題の根本にありました。
本来、製造納期が早い生産オーダーは、製造納期が遅い生産オーダーより優先して着手されるべきです。
また自由度の考え方から言えば、生産リードタイムの長い製品は、生産リードタイムの短い製品より優先して着手されるべきです。
しかし、実際の受注データや生産実績データを元に確認を進めたところ、
・そもそも製造納期が適切に管理されていない
・生産リードタイムを考慮した優先度が分からない
という課題が明らかになってきました。
解決策: 顧客納期と生産リードタイムによる生産優先度の見える化
上記課題を踏まえ、
・顧客納期変更があれば生産オーダーへも納期反映
・生産リードタイムを設定の上、優先度を色で見える化
を実施。
このシンプルな改善により、現場作業者の判断でも適切な順序で作業着手出来るようになり、納期遅延を解消することができました。
S-DBRの真価
なぜ着手順が変わるだけで、納期遅延が劇的に解消されたのでしょうか?
それは、生産リードタイムを「加工時間」「停滞時間」に分けたとき、実際に加工を行っている正味の加工時間は、5%以下だったからです。
95%は何もせず眠っている停滞時間であり、この停滞時間を減らす仕組みができれば生産リードタイムは劇的に短くなり、顧客納期に間に合うようになるのです。
その仕組みの一つが、S-DBRになります。
またS-DBR導入の導入プロセスで、問題を引き起こす業務フローを明確にし、具体的なアクションを起こせたこともポイントだと思います。
今回でいえば、既に発行した生産指示に対し、製造納期をメンテナンスするアクションです。
製造納期のメンテナンスは面倒とはいえ、当初納期のまま放置してしまうと、受注生産を行っている事業環境では致命的。
納期情報は属人的に管理され、製造現場では適切な情報が受け取れず、どれが急ぎか分からなくなってしまいます。
結果、問題の火消し業務が増え、忙しいけど成果が出ない、辛い、となってしまうことは多いです。
S-DBR導入を終え、導入支援させて頂いた加工メーカー社長からも、
「S-DBRでは受注全体の納期順位が直観的に分かるので、都度指示しなくても現場が自ら考えるようになった。ストレスが無くなった」
とのお言葉を頂くことができました。
理想は生産管理部門が、全ての工程に明確な作業差立を行えている状態ですが、「計画工数がない」「製造制約が分からない」ために、結局は現場主導で作業順決定している工場も多いのではないでしょうか。
S-DBRでは、Excelを使ったシンプルな優先度見える化で、納期遵守率向上や棚卸資産適正化を狙うことができます。
まとめ: 生産優先度情報の重要性
生産優先度情報が現場に伝わっているかどうかで、納期遵守率は大きく変化します。
S-DBRは納期・リードタイムを元に、生産優先度情報を適切に情報展開できるTOC手法です。
本記事が業務フローの見直しや改善のきっかけになれば嬉しいです。